既婚者だと知らなかった経緯を整理するメモと指輪のイメージ

「独身だと聞いて付き合っていたのに、実は結婚していた」

この状況では、裏切られた気持ちに加えて、「自分まで不倫相手として責任を問われるのでは」と不安になる人が少なくありません。

ここで必要なのは、自分を責めて記録を消すことではありません。相手が既婚だと知っていたか、注意すれば分かった事情があったか、独身だと何を言われていたかを、順番に整理することです。

法律上の注意

法テラスは、相手が既婚であることを知らず、十分な注意をしても知ることができなかった場合には、不法行為が成立せず、慰謝料請求が認められないと考えられる旨を案内しています。ただし、結論は個別の事情で変わります。請求書や内容証明が届いている場合は、返信する前に弁護士へ相談してください。

最初に保存したいのは「独身だと信じた理由」

「知らなかった」と一言で説明するより、なぜそう思ったのかを記録で示せる方が相談しやすくなります。

次のような情報を、元の状態で残します。

プロフィールやメッセージが消えることもあるため、日時やアカウント名が分かる状態で保存しておくと、後から経緯を振り返りやすくなります。

「知らなかった」以外に、見られやすい事情

相手の説明は、どれくらい具体的だったか

平日しか会えない、夜に電話できない、家に呼ばれない、といった事情だけで、直ちに「気づくべきだった」と決まるわけではありません。

ただし、質問した時に相手がどう答えたか、説明は一貫していたか、独身だと信じるだけの具体性があったかは、経緯として整理する価値があります。

たとえば、以下を並べてみてください。

気になった点 相手の説明 その時に残った記録
土日に会えない 仕事だと言われた シフトの話、代替日の提案があったか
夜に通話できない 実家で話しにくいと言われた 連絡できる時間を提案されたか
家に行けない 片付いていないと言われた 理由が変わったか、生活圏の話はできたか
SNSを見せない 身バレしたくないと言われた 別の生活情報と矛盾がないか

この表は、相手を疑うためのものではありません。自分がどんな説明を受け、どの時点で何を信じたのかを残すためのものです。

既婚と知った後、関係を続けたか

既婚であることを知った後に、何をしたかも時系列に残しておきます。

後から自分を責めて履歴を消す必要はありません。関係を続けたかどうかも含め、事実を正確に残しておく方が、法律相談や説明の場で役に立ちます。

相手の配偶者から、すでに連絡が来ているか

LINE、メール、電話、内容証明などが来ている場合は、削除せずに保管します。

急いで謝罪文を長く送ったり、「全部私が悪い」と書いたり、支払いを約束したりすると、必要以上に話を広げることがあります。
相手が何を求めているのか、期限はいつか、どの事実を前提にしているのかを確認してから対応を考えます。

相手の配偶者から連絡が来た時の初動

連絡の内容が強いと、すぐ返さなければと思いやすくなります。まずは次を確認してください。

  1. 相手の氏名や連絡先は確認できるか
  2. 要求は謝罪、面談、支払い、書面のどれか
  3. 返答期限はいつか
  4. 請求金額や根拠は書かれているか
  5. 内容証明など正式な書面か、LINEやメールか
  6. こちらがすでに返信しているか

返答の例を無理に作る必要はありません。短く保留を伝えるなら、次のような形があります。

「連絡内容は確認しました。事実関係を整理したうえで、必要に応じて専門家にも相談してから返答します。」

ただし、相手の状況や期限によって対応は変わるため、請求が具体的なら個別に法律相談を検討してください。

先にしない方がよいこと

不安な時ほど、何かしなければと思います。けれど、最初の仕事は「保存する」「返答を急がない」「相談先を探す」の三つで足ります。

相談で伝えるためのメモ

以下を一枚にすると、弁護士や相談窓口で説明しやすくなります。

出会った方法:
交際を始めた日:
相手が独身だと説明した内容:
その記録の有無:
既婚と知った日・きっかけ:
知った後にしたこと:
相手の配偶者からの連絡の有無:
届いた書面や期限:
今、確認したいこと:

メモの目的は、言い訳を作ることではありません。起きたことを順番に伝えることです。

既婚者だった相手本人に、何を確認するか

相手本人から「もう別居している」「夫婦関係は終わっている」「すぐ離婚する」と説明されることがあります。

それを聞いた時に、その場で関係を続けるか決める必要はありません。少なくとも、以下の点は自分のために整理しておくとよいでしょう。

相手の説明だけで、法的な判断まで終わったことにはなりません。自分の生活と安心を優先してください。

独身だと信じるために、無理な身元確認をする必要はない

後から振り返ると、「もっと調べれば分かったのでは」と自分を責めたくなることがあります。

ただ、交際の初期に相手の戸籍、端末、住所、勤務先を勝手に確認することが、誰にでも求められるわけではありません。相手の説明やプロフィールを信じたこと自体を、直ちに責める必要はありません。

大切なのは、疑いがあったかどうかではなく、その時にどんな説明を受け、どのような行動を取ったかを正確に残すことです。違和感があったなら、その時に質問した内容と返答もメモできます。違和感がなかったなら、なかったことも経緯の一部です。

“自分が見抜けなかった”という反省と、“法的に何が問題になるか”は別の話として扱ってください。

関係を終える時に、生活面で決めておくこと

既婚と分かった後、相手から「少し待ってほしい」「離婚するから」「誰にも言わないで」と言われることがあります。気持ちが残っていると、すぐに連絡を断つのが難しいこともあります。

そんな時は、長い結論より先に、自分のためのルールを一つ決めます。

これらは相手を罰するためではありません。自分の生活と気持ちを、相手の都合だけで揺らさないための線引きです。

相談先へ話す時、恥ずかしさを減らす準備

「自分も悪く見られるかもしれない」と思うと、相談で大事なことを言えなくなる場合があります。

相談先は、相手を良く見せる場所でも、自分を責める場所でもありません。分からないことを分からないまま伝えて構いません。

たとえば、次のように話し始めるだけで十分です。

「独身だと聞いていました。いつ既婚と知ったか、記録と一緒に確認してほしいです。」
「相手の配偶者から連絡が来ました。返信や支払いを急いでよいのか分かりません。」
「自分が何を信じていたかを、時系列で説明したいです。」

説明を整えすぎなくても、年表と保存した記録があれば、相談は始められます。

既婚と分かった後に、相手から言われやすいこと

既婚者本人からは、事情を急かす言葉が出ることがあります。

「夫婦関係はもう終わっている。」
「離婚する予定だった。」
「配偶者には言わないでほしい。」
「あなたも悪いことになるから、記録を消して。」

こうした説明を聞いても、その場で真偽を決めたり、相手のために動いたりする必要はありません。とくに記録を消す、配偶者へ説明する、金銭を立て替えるといった求めには、すぐ応じない方がよいでしょう。

相手の事情を聞くことと、自分の安全や立場を守ることは両立します。迷ったら、返事をする前に一晩置き、相談先へ持ち込む記録を確認してください。

これからの交際を考える前に、問い直したいこと

相手が「離婚する」と言っていても、実際に何が進んでいるかは別です。待つ・待たないを決める前に、自分へ次の質問をしてみてください。

答えがすぐ出なくてもかまいません。関係の結論を急ぐより、自分の生活を守る線を先に決める方が、後悔を減らしやすいです。

よくある質問

既婚者と知らなかったら、必ず慰謝料を払わなくてよいですか?

事情によって異なります。既婚であることを知らず、注意しても知ることができなかった場合には請求が認められないと考えられる旨を法テラスは案内していますが、個別の経緯が重要です。

マッチングアプリのプロフィールは証拠になりますか?

相手が独身だと信じた経緯を説明する資料の一つにはなり得ます。画面全体、アカウント名、日時などが分かる状態で残しておくと整理しやすいです。

相手の配偶者に会うよう求められました。行くべきですか?

急いで会う約束や支払いの約束をする必要はありません。請求、示談、法的な話が含まれる場合は、会う前に弁護士へ相談する選択肢があります。

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